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目次

  1. 高圧ケーブルの概要、耐用年数などについての解説
  2. そもそもケーブルと電線の違い
  3. 低圧/高圧CVケーブルの構造の違い
  4. ケーブル劣化要因と劣化部位
    1. 水トリー現象について
    2. 遮へい銅テープ破断
  5. E-TタイプとE-Eタイプの違い
    1. さらに水トリー対策した遮水層付きCVケーブル
  6. ケーブルの運用可能期間/更新時期
  7. 感想

高圧ケーブルの概要、耐用年数などについての解説

Youtubeの動画でいい動画がUPされていた。 ケーブルメーカとして有名なフジクラダイヤケーブルさんがケーブルについての解説をしている動画だ。

電気設備保守を担当するなかで、ケーブルというのはどちらかというと地味なポジションだと感じている。点検内容も地味だし見た目もインパクトのない設備ではあるが、いざトラブルが起きると即復旧が難しく、リスクは大きい設備だとも言える。

っで実際に保守管理をするにあたって、ケーブルに関する知識を学ぶ機会は少ないように感じる。定期点検で絶遠抵抗測定、シース抵抗測定、直流漏れ電流試験などを実施し、劣化傾向がわかれば更新計画をしなくてはいけないが、基本的にはケーブルはトラブル少ないし大丈夫だろうという感覚になってしまう。

そんな中、この動画ではケーブルについてのトラブル原因等がわかりやすく解説されているので、動画を見ながらメモを取っていきたい。

※ここでは動力ケーブルの話がメインです。

【高圧ケーブルの概要と劣化現象・トラブル事例】 - YouTube

そもそもケーブルと電線の違い

動画3:07〜

IV線は導体(銅やアルミ)を絶縁物で覆ったもの。 ケーブルは導体を絶縁物で覆ったものを保護層(シース)でさらに覆ったもの。

低圧/高圧CVケーブルの構造の違い

動画4:47〜

高圧ケーブルには内部半導電層と外部半導電層があるということがわかった。

低圧CVケーブル 高圧CVケーブル 役割
導体 あり あり 電気の通り道
内部半導電層 あり ボイドの発生抑制、電解集中を緩和
絶縁体 あり あり 絶縁のため
外部半導電層 あり ボイドの発生抑制、電解集中を緩和
遮へい層 仕様による あり 誘導対策、感電防止
シース あり あり 外傷からの保護
01

引用:6600V CV ケーブルの E-T/E-E タイプについて 住電HSTケーブル(株)

ケーブル劣化要因と劣化部位

動画7:26〜

劣化種類 要因 具体的な症状
電気的劣化 使用電圧長期印課
異常電圧印課
熱的劣化 負荷変動等によるヒートサイクル 遮へい銅テープ破断
高温での使用
短絡・地絡
化学的劣化 化学薬品、溶剤、油
紫外線、オゾン
遮へい銅テープ破断
機械的劣化 屈曲、衝撃、振動、圧縮、引張、沈下
生物的劣化 蟻、ねずみ、こうもり、かび
複合的劣化 電界+水 水トリー現象
熱+油・溶剤 遮へい銅テープ破断
熱+水

ここでは遮へいテープ破断と水トリー現象がピックアップされている。 それぞれの事象について動画内でも解説されているが、以下のリンク先でも解説されているので参考にさせていただく。

水トリー現象について

水が絶縁物に侵入+電界が加わることにより、徐々に絶縁劣化が進んでいく現象。劣化進行がツリー状に進むから、このような命名になっていると思われる。

水トリーとは?

水トリー(みずトリー、water tree) 架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル(CVケーブル)の絶縁層内に侵入した微量の水分や異物が、時間経過により絶縁体の中に浸透し、絶縁劣化を経て絶縁破壊する現象のこと。

引用:水トリー現象とは?原因・ケーブル絶縁部の異物や水分の浸透による絶縁劣化 - でんきメモ

遮へい銅テープ破断

高圧ケーブルには、誘導対策や感電対策に遮へい銅テープが巻かれている。この銅テープが劣化・破断することにより本体ケーブルの絶縁劣化等の不具合が発生する。

電力ケーブル接続部を安全にお使い頂く ために (施工・工事編その5)

遮へい銅テープが破断した場合

破断部分に充電電流が流れて発熱⇒絶縁劣化⇒発火 破断による外導テープ侵食⇒アーク放電の進展(トラッキング現象)

引用:遮へい銅テープ(シールド)の絶縁不良・断線 - でんきメモ

E-TタイプとE-Eタイプの違い

動画16:36〜

高圧CVケーブルを購入するときに悩むであろう、E-TタイプとE-Eタイプの違い。 信頼性としてはE-E > E-Tタイプである。

違いは、ケーブル製造時の外部半導電層の組み上げ方にある。

E-Eタイプは内部半導電層・絶縁体を押出すと同時に外部半導電層も押出している。 E-Tタイプの外部半導電層はテープ巻きで製造している。

というに風に説明されているが、具体的には私もあまりわかっていない。

もっと端的に説明すると、水トリー対策品としてE-Eタイプを使用することがあり、通常はE-Eタイプを使用することが多いのではないかと思われる。

高圧 CV ケーブルには、2 種類の仕様の製品があります。EE タイプは内部半導電層および外部半導電 層を押出式にして絶縁体と同時押出加工することにより、絶縁体との界面を平滑にするとともに異物の混 入を防ぐことにより、耐水トリー性を向上させたものです。

6600V CV ケーブルの E-T/E-E タイプについて

さらに水トリー対策した遮水層付きCVケーブル

動画18:21〜

水にさらされる可能性が高い環境に置かれるCVケーブルについては、遮水層付きCVケーブルを使用することがあるようだ。

ケーブル構造としては遮へい銅テープとシースの間にアルミ等で遮水層を設けているようである。

22 kV アルミ遮水CVTケーブル・接続体の開発

ケーブルの運用可能期間/更新時期

種類 布設状況 年数
絶縁電線(IV,HIV,DV等) 屋内、電線管、ダクト、壁内 20~30年
屋外布設 15~20年
低圧ケーブル(VV,CV,CVV) 屋内、屋外 (水影響なし) 20~30年
屋外 (水影響あり) 15~20年
高圧ケーブル(CV等) 屋内 20~30年
直埋、管路、屋外ピット (水影響あり) 10~20年

更新推奨期間としては、 水の影響なしで:20年以上 水の影響ありで:15年ほど

ということらしい。実際にはもっと長期間使用することがほとんどのような気がするが、メーカとしてはこれぐらいで更新してほしいとのこと。

感想

この紹介させていただいた動画は、ケーブルの保守をする中で必要になる情報がわかりやすくまとめられており、とてもありがたい。

作成日:2023/11/19